アディクション看護師の日日是好日

依存症治療病棟で起きる日々の出来事を日記のように書いてます。

カオス

「お前が悪いんだろ!!」

 

廊下に響く大声。周囲は騒然。看護師数名がその患者のもとへ向かう。時々起きる患者同士の喧嘩。仲裁も一苦労。

 

集団生活なんてしてこなかった人たちもいれば、法を犯して規律正しい集団生活を経験してきたツワモノたちなんかが、入り乱れているカオスな病棟。それだけに気に入らないことがあったりすると喧嘩も起きる。

 

理由は単純。寝ていたところに、たまたまベットにぶつかって起こされたというどうでもいい理由。でも、患者さんはそれが許せなくてヒートアップ。そして話は訳が分からない方向へと進んでいく。

 

最後の締めくくりは・・

 

「俺をなめんじゃないよ。刑務所にも何度も入っているだぞ。」

 

そういう強いアピールいりません。刑務所に入っているの自慢になりません。そう思いながら患者さんをなだめる。一般社会でこんなこと起きたら、警察沙汰だし恐喝に当たるような出来事。

 

アディクション(依存症)の患者さんはストレスへの脆弱性がある人が多いように感じる。怒りの感情をコントロールするのが苦手だし、閾値が低い。家庭環境がそれほど良くない人が多いのも特徴。倫理観や自己抑制を覚える時期に親がいない生活をしてきている人もいる。

 

「育て直し」と言ってた看護師もいた。大の大人に倫理観や感情のコントロールの仕方を教えるのは難しい。特にMR(発達障害)があって、IQが低い人に教えるのはかなり骨が折れる。

 

精神科の看護師には父性と母性の両方が必要だと感じている。父性はルールや倫理観を教え、母性は話を聞いて心のよりどころを作る。ただ現実的にはあまりバランスがいいとは言いにくい。強い言動のおばちゃん看護師が多いから。患者さんと喧嘩になる看護師もいて、どちらが病気なのかわからない時もある。

 

人を扱う仕事は大変だな~。