アディクション看護師の日日是好日

依存症治療病棟で起きる日々の出来事を日記のように書いてます。

病は気から

「口の中チェックさせてください。」

 

「舌にまだ残っているよ。ちゃんと水で飲んで。」と強い口調の看護師。

 

精神科では見慣れた光景。ある意味独特な場面。食後に内服をしてもらうが、口の中に残ってないか確認する作業。

 

一般科では自分の薬は病気の良し悪しに直結するから内服をしない人はほとんどいない。精神科では薬自体を嫌う人もいて、内服したがらないことも多い。酷い人だとお菓子の袋一杯に薬を隠していた例もあるくらい。それだけに確認作業は必須。

 

始めて精神科に努めたときは一列になって内服確認する光景に違和感を覚えたのを今でも思い出す。

 

そんな中でも薬が好きな人もいる。それは薬物依存の患者さん。

 

「頓服薬ください。そわそわしちゃって。」と看護室へ時間を見計らってくる。

 

まさに依存症。薬物でハイになる感じがいいと患者さん本人から聞いたことがある。薬物依存を治す気がない感じ。看護師もその点は理解していて、状況によっては「SL」という名の乳糖を使うことがある。乳糖はただの砂糖。子供用に薬を甘くするのに使うけど、それを頓服薬に使ったりする。

 

「この薬ものすごい効果あるって先生話していたでしょ。すぐよくなるからね。飲んだら少しお部屋で休んでね。」と笑顔の看護師。

 

実際にこれが効いちゃうこともあるから、やはり「病は気から」なのかもしれない。同じ薬を渡していても新人の若い看護師が渡すよりも、年配の看護師が渡す方が効果が違ったりする。一般科なら若い看護師さんに渡された方が効くけど、精神科では年配の看護師の方が効きがいい。威厳の問題なのかと思う。