アディクション看護師の日日是好日

依存症治療病棟で起きる日々の出来事を日記のように書いてます。

病棟 日日是好日

「〇〇さん、元気?どうしちゃったの?こんなところで。」 「あんたもこんなところで何してんの?」 お互いアルコール依存症の患者さんの会話。どうしちゃったも、こうしちゃったもないと思うが会話は盛り上がっている。 話しかけたのは60歳代後半の女性患者…

チャットGPT

「チャットGPT?新しい検査の名前?肝機能の新しい指標なの?」 時代についていけない、おばちゃん看護師さん。 肝機能はガンマGPTです。話しているのは今流行のAI。今でも手書きの看護記録書いている人からしたら、AIなんて未来人が到来するくらいの出来事…

シンデレラ

「全然起きないんですよね。薬が効いちゃってるみたいで。」 保護室担当している看護師からの申し送り。寝ちゃって起きない??シンデレラか??そんなカワイイ感じじゃなく、80台も中盤のアルコール性認知症患者さん。 片や一般病床の患者さんの申し送り。 …

火事

「数があってない!!アクシデントレポート書かないと!!」 大騒ぎするおばちゃん看護師。 久しぶりに薬を担当してもらったが、薬剤の残数が合わないと上司の看護師をつかまえて大騒動。 あんたが薬担当してた時、残数どころの騒ぎじゃないくらい薬の数が合…

病院依存症

「ダルク行くくらいなら、病院に長くいさせてもらった方がいいです。」 「本気でそんなこと言いってるの?外にでて自由になりたくないの?」 「ダルクって合わないんすよね。行くくらいだったらここに居させてもらいたいっす。先生にもそう言おうと思ってま…

必要悪

「保護室が空くまで預かってほしいと依頼があって受けたみたい。」 「なんでも受ければいいってもんじゃないよね。」 「体よく送られてきたんじゃないの?」 夜勤入る前に日勤の看護師が話しているのを小耳にはさんだ。保護室に入っている患者さんのこと。 …

低血糖

「部屋の人が倒れてます。」 夜勤の始まりはこの一言から。冷静に情報を伝える患者さんは元医療従事者。 確かに部屋の前で倒れている。顔色悪くベットに自分で戻ることができないので、抱えてベットへ。血圧は80代、血糖は70代。低血糖の症状が出ているから…

精神労働

「少しお酒ないか?」 消灯後に看護室に出てくる患者さん。病院でお酒配っているところあったら教えてほしい。病院に最近ではコンビニもあるけど、お酒なんか売ってないですよね。依存症治療の病院です。手指消毒のアルコールだって厳密な扱いしているくらい…

鉾と盾

「何読んでるの?」 食堂でスポーツ新聞を真剣に見ている20代男性。 のぞき込むと・・ スポーツ新聞に出ている昭和AVの宣伝広告。 ガン見している題名は 「純粋な制服姿が美しいガイドさん 新任バスガイドとめぐる秘境ツアー ~狙われた秘境ツアー 新任バス…

睡眠と精神科

「勝手に人の家に入ってきやがって!!」 保護室が自分の家!? 認知症の夜間せん妄おじいちゃん。眉毛がつながっているから「両津カンキチ」とか子ザルみたいだからと「モンキーセンター」というカワイイあだ名を看護師からつけられている。 しかし、中身は…

歓喜の声のなか換気

「やった~!!!」 歓喜の声が病棟内に響きわたる。 保護室内まで響く歓喜の声。たぶん、WBC優勝・・。 「痛いからやめてよ!」 と、目の前の怒り狂う患者を抑えながら敵便中。心は歓喜の渦。指は肛門の渦の中。 一緒に歓喜の輪に入りたかった。歓喜じゃな…

看護室の窓口は「なんでも相談窓口」

5:45 そろそろ起床時間。空が明るくなってきた。 88歳のおじいちゃんが看護室へ 「すみません。ちょっと質問が・・・夕食給仕してもらったっけ??」 本人は真剣。笑っちゃいけないが、こらえられない。 「給仕しましたよ。いま、朝です。」 キョトンとして…

身体拘束

「服で自殺しようとしたみたい。たまたま見つけたみたいだけど。」 「動画残っているからみてみたら?」 と日勤業務のリーダーから話。画像見ると確かに衣服を柵にかけて首を吊ろうとしている。アルコール依存症も攻撃的な感じに変貌する人もいれば、抑うつ…

患者指導

「お酒飲まないって言ったか?」診察室に響き渡る声 「ここ出るとき自分から誓約書持ってきましたよね。」と医師。 「そんなこと言ってない。ただ名前書いただけだ。内容なんて知らん。」ととぼける患者。 「これ見てみなさい。あなたの字でしょ。」誓約書に…

入浴介助日

「はい、次!!」 助手さんの勢いある声が浴室に響き渡る。焦る看護師。着替えが追い付かない。 週明けと週末の戦場。そう、介助入浴の日。 毎日お風呂に入れれば理想だけど、入浴に介助のいる人は週2回から3回程度の入浴で我慢してもらっている。失禁があ…

精神科的未来日記

「病棟移動してきたみたい。〇〇さんとキスしていたの目撃されたらしいよ。」 男女が同じ病棟にいれば男女間の恋愛も起きやすい。病院にもよるけど、男女混合の病棟もある。依存症は年齢層が案外幅広いし、薬物依存の患者さんは特に若い人が多いから厄介。 …

カオス

「お前が悪いんだろ!!」 廊下に響く大声。周囲は騒然。看護師数名がその患者のもとへ向かう。時々起きる患者同士の喧嘩。仲裁も一苦労。 集団生活なんてしてこなかった人たちもいれば、法を犯して規律正しい集団生活を経験してきたツワモノたちなんかが、…

病は気から

「口の中チェックさせてください。」 「舌にまだ残っているよ。ちゃんと水で飲んで。」と強い口調の看護師。 精神科では見慣れた光景。ある意味独特な場面。食後に内服をしてもらうが、口の中に残ってないか確認する作業。 一般科では自分の薬は病気の良し悪…

晴れ時々曇り、のち雨。

「ちょっと話したいことがある。」と真剣な顔で患者さん。 「実はね、この前5億円振り込まれたから、今度渡すね。」と。 依存症治療の病棟だが、たまに統合失調症?と思われる患者さんも入ってくる。 保護室に入ってて外部との接触がないのにどうして振り込…

病棟内通貨

「お菓子をねだってくる人がいるから注意してください。」 そう言ってくる患者さん。その患者さん、かなり入院して太った。 明らかにお菓子の食べ過ぎだからだ。普通に病院食だけだったら太らない。依存症で入院した人が唯一気分転換できるもの、それはお菓…

夜中に不穏・・

「何とかしてくださいよ。」 平和な夜勤を脅かす患者さんの一言。 看護室でのんびり新聞を読んでいたのに、同じ部屋の数名が看護室に抗議にきている。内容は同室者が消灯後も飴玉をガリガリ食べていて寝れない。うるさい。とのこと。 部屋に向かうと自分の荷…

趣味

「明日は10レース、3を軸に・・・」 と競馬の予想を電話で話している患者さん。 精神科特有で閉鎖病棟には今はあまり見かけなくなった公衆電話が置いてある。通信の自由があるが、携帯電話の使用はできない。たまに警察や消防に電話してしまって、公衆電話が…

あだ名

「すみませ~ん」と看護室に暗い顔で訴えてくる。 「落ち着かないんで薬もらえますか??」 「さっきまでTV見て笑っていたでしょ。薬は必要ないでしょ。笑ってる余裕のある人には渡しません。就薬まで待っていなさい。」と看護師 もともとはゲーム依存で入っ…

仏と不動明王

「看護師さん~すみません~」と作業療法士から呼び出し 患者移動や入院が重なって忙しいので看護師が応えない 「お願いします~。倒れちゃってます。」と少し切迫した声で看護師を呼び出す。 たまたま目が合ったので行ってみると、プログラムで集まった患者…

専門家の集まり

「ここはちょっと違いますね。〇〇さんとこはどうでしたか?」 専門用語が飛び交う食堂内。アルコール依存症の元自衛官たち。 階級は様々。3等海尉から2等陸曹まで定年まで勤めた人まで数人がたまたま一緒になって話していた。きっかけはロシアの進行で戦…

ココはホテルじゃないです。

「22時になったら追加のお薬もらえるんですよね。22時になったら起こしてください。」と保護室に入っている患者さん。 「ここはホテルじゃないです。」とは言えず、「起こすことはしませんよ。」と。言っている自分の顔が引きつっているのが分かった。 もう…

直行便

「お迎えお願いします~。男性2名でだって。」と病棟クラークさん。 男性2名。外来から男性看護師を複数名呼ぶときは暴れることもある患者さんが来ている警告サイン。入院に納得していない患者さんの場合は外来から病棟に連れてくるまでが一苦労の場合も多い…

アルコール依存?薬物依存?・・いや若年性認知症

「入院してだんだん食べなくなってきたよね。」と中堅看護師 確かに入院してからだんだん食べなくなってきた。40歳代後半の男性。もともとはアルコール依存症という診断で入院してきていた。以前の職業は夜のお仕事。バーの店長をしていたらしい。バーの店長…

アルコール離脱症状全開

夜勤に入る前。病棟に入ると看護師がモニターの前でたむろっている。こういう時は大抵、不吉な空気感が漂っている。 モニターをのぞき込むと患者が暴れている。60歳代の男性、自営業をしていたみたい。店をやっていたが飲酒が増えて継続できなくなり廃業した…

80歳代、高齢アルコール依存症

「また入院してくるみたいです。」と病棟クラークさん。 「えー」と看護師一同。 80歳代の耳の遠いアルコール依存のおじいちゃん。病棟も徐々に高齢化して、アルコール依存症の初回入院が80歳代もざらになってきている。この患者さんはどちらかといえば認知…