アディクション看護師の日日是好日

依存症治療病棟で起きる日々の出来事を日記のように書いてます。

「〇〇さん、元気?どうしちゃったの?こんなところで。」

 

「あんたもこんなところで何してんの?」

 

お互いアルコール依存症の患者さんの会話。どうしちゃったも、こうしちゃったもないと思うが会話は盛り上がっている。

 

話しかけたのは60歳代後半の女性患者さん。話かけられたのは80歳代の男性患者さん。顔見知りで近所に住んでいたらしい。女性患者さんは山登りが趣味で、登山口にある男性患者さんの家の前をよく通っていたらしい。時々、男性患者さんが家の前に出てきていて、その患者さんに話かけていたみたい。

 

女性患者さんはお酒を飲んでいるときは、自宅玄関で尿失禁したり夫に暴力振るったりする大虎。男性患者さんも酩酊状態で被害妄想に暴言暴力で警察沙汰になって拘置所から直行してきた大虎。そんな2人も、お酒がない病棟では虎が猫になり普通の近所のおじさん、おばさん。

 

結局、お互いの事情には触れず会話は終了していた。そりゃ依存症治療の病院に入院しているわけだから、薄々は事情は分かっているはず。

 

患者の中には案外近所に住んでいる人も多い。世間は狭いな~と改めて感じてしまう。地域には表に現れないだけで、依存症の患者さんは多いのかもしれない。