晴れ時々曇り、のち雨。
「ちょっと話したいことがある。」と真剣な顔で患者さん。
「実はね、この前5億円振り込まれたから、今度渡すね。」と。
依存症治療の病棟だが、たまに統合失調症?と思われる患者さんも入ってくる。
保護室に入ってて外部との接触がないのにどうして振り込まれたことがわかるんだろう?患者さんは信じて疑わない。話はさらにエスカレート。
「私は天皇さんと知り合いなの。だからなんでもできるの。お金も自由自在。」と。
どういうわけか、天皇やアラブの石油王、神様など権威のある人と知り合いが多い。妄想を助長しちゃうのであまり突っ込んで話を聞かないが、言っている本人は真剣そのもの。
精神科は「傾聴」すなわち患者さんの言動に心から耳を傾けることが求められる。しかし、傾聴ばかりはしていられないことも多い。これもまた精神科看護。病棟中に神様の知り合いばかりがいては、仕事にならない。
普段は本当に気の優しいいい患者さんなんだけどね。あちらの世界に飛び込んでしまうことがあります。それを引き戻すことも必要なんです。一般科みたいにサンズの川から引き戻すことはあまりないけど、パラレルワールドから引き戻すのが結構骨折るときもあります。