アディクション看護師の日日是好日

依存症治療病棟で起きる日々の出来事を日記のように書いてます。

専門家の集まり

「ここはちょっと違いますね。〇〇さんとこはどうでしたか?」

 

専門用語が飛び交う食堂内。アルコール依存症の元自衛官たち。

 

階級は様々。3等海尉から2等陸曹まで定年まで勤めた人まで数人がたまたま一緒になって話していた。きっかけはロシアの進行で戦車の話が出たときみたい。普段は我関せずで、本読んだりして適当に過ごしているみたいだったけど、意気投合したみたいで自衛隊話に花が咲いてるみたいだった。あそこの基地は飲み屋が少ないとか、繁華街がしょぼいとか、アルコール依存症の治療にきているとは思えない会話も結構あった。

 

仕事しながら時々話を聞いていた。本当に専門職で、職人というレベルの人たち。アルコール依存になってなければ、もっと出世やいい職につけたのにな~なんて思ってしまった。

 

個々にアルコール依存になったきっかけを見ていると共通しているのが、不規則な勤務と体育会系の飲み会。たくさん上司から飲まされて、断ることもできない体質の職場だったみたい。まだパワハラなんて言葉もない時代から頑張って働いていた、ある意味で犠牲者なのかもしれない。

 

アルコール依存症の患者さんで公務員が多いな~と思うことがあります。それだけプレッシャーがあるのかもしれない。お酒が抜ければ本当に紳士だったひともいる。アルコールは誰でもどこでも手ごろに買える正規の薬物。逃げ場がない時はどうしても頼ってしまうのかもしれません。アルコール以外に自分を逃がす場を見つけてもらうのも看護師の役目だけど、仕事とお酒で生活してきた人に別の物を見つけてもらうのは本当に大変。

 

案外いろいろな趣味を持って、適当に過ごしている方がストレスなく行けるのかもね。